知人のこと その1

ルーシーは世界的に名の知れた化粧品メーカーで社長秘書を務めるOLです。


紺色のジャケットにミニスカート、それもタイトのミニスカートというよりはプリーツとかフレアーとか、要するにそのきれいな脚をより強調するようなスカート姿で彼女は毎朝、一人暮らしのアパートからパリ郊外にあるオフィスへと通勤していました。


彼女の会社での働きぶりについて私はあまりよく知らないが、一代で世界的規模の会社を築き上げた辣腕家の社長にもう何年も仕えているのだから、きっとそれなりに有能な秘書なのでしょう。


秘書という職業は、日本語でもフランス語でもたぶん同じような語感があって、それはたとえぽ「秘書声」を使った電話でのなめらかな応対とか、書類の束をかかえてハイヒールで廊下をコツコツと歩くとか、地味なような派手なような貞淑なようなちょっとセクシーなような、つまり不安定でアンビバレンツな色気がある、そんなイメージといったらよいか。


ともかくもルーシーはまさにそんな「秘書タイプ」のお手本ともいえるような女性でした。

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