知人のこと その4
私にその情報を提供してくれた人は、そういう「モラルの欠如」にほとほと嫌気がさして、長年勤めたその会社を結局辞めてしまったのだが、彼女の予言では「あの息子が次期社長になった暁には、これほど発展したE社もあっけなく潰れるだろう」ということです。
「真面目で頭よさそうな社長さんなのに、そんな息子に会社を継がせることに危機感を抱いたりしないのかしら」
と私が尋ねたら、彼女は絶望のため息をついていったものです。
「結局親っていうのはね、みんな親馬鹿なのよ。あんなに自分にも他人にも厳しい人なのに、こと自分の息子となるとね、それはそれは甘いのよ。目が眩んじゃうのねえ」
その彼女が太鼓判を押してルーシーを褒めるのです。
「彼女は仕事もできるし、いい子よお」そうかあ、ルーシーはいい子なのか・・・。
とりあえずは彼女のルーシー評を信用して、そうして私は誘われるまま、パラシュートの見学にも出かけ、その晩は同じブルターニュにある彼女の友人の別荘に泊めてもらったりもして、何だかすっかり好意に甘えてしまったのです。